映画「来る」の考察まとめ

映画『来る』は、ホラーとミステリーが交錯する作品であり、視覚的な恐怖や心理的な圧力を巧みに利用しています。

本作は、物語の背後にある深いテーマを探ることができる作品でもあります。

今回は『来る』を観た後に考えさせられるいくつかのポイントを掘り下げてみます。

目次

考察① 人間の恐怖心とその根源

『来る』の根底にあるテーマのひとつは、「人間が抱える恐怖心」そのものです。

主人公たちは次々と不気味な現象に襲われ、絶え間ない恐怖に苛まれます。

これらの恐怖が、単なる「超自然的な存在」からくるものではなく、むしろ人間同士の深い関係性や、過去に起こした出来事から発生しているという点に注目すべきです。

物語の中で登場人物が直面する恐怖は、必ずしも実体のあるものではありません。

霊的な存在や異常現象は、それらの人間が抱える「未解決の問題」や「過去の罪」の象徴となっており、恐怖はその結果として現れるのです。

このことから、『来る』は単なるホラー映画にとどまらず、人間の心の闇とその克服が描かれた作品であることがわかります。

考察② 人間の弱さと依存

本作における登場人物たちの行動を見ると、彼らは常に他者に頼り、依存しています。

特に重要な役割を果たすのが、霊能力を持つ女性キャラクターです。

彼女の力を頼りにしている主人公たちは、自分たちの問題に直面したとき、最終的に他人の力に頼ることで解決しようとします。

この依存関係は、現代社会における人間関係の縮図とも言えるでしょう。

人々は、問題を解決するために他者に頼り、他人の力に過度に依存することが多いですが、それが過信となり、結果的に自分の力で立ち向かうことを避けてしまうことがあります。

映画内では、依存の果てに生じる恐怖やトラウマが表現され、登場人物たちが最終的にどのようにその依存から解放されるかが一つの焦点となっています。

考察③ 過去のトラウマと未来の呪縛

『来る』では、過去の出来事や解決されていないトラウマが現在に影響を与え続ける様子が描かれています。

登場人物たちが抱える未解決の問題や過去の痛みが、彼らを苦しめ、さらなる恐怖を引き起こします。

これは、過去の「呪縛」がいかに未来にまで影響を与えるかというテーマとも深く関係しています。

特に、物語の進行とともに明かされる過去の事件が登場人物たちにどのように影響を及ぼすかは、映画全体の構成に大きな意味を持ちます。

過去を振り返ることなく前に進むことはできないという現実を突きつける本作は、過去に解決しなければならない問題が、どんな形で未来に再び現れるのかを描いています。

まとめ

映画『来る』は、単なるホラーやサスペンスにとどまらず、深い心理的な要素と人間ドラマを交えた作品です。

恐怖の根源は人間自身にあるというテーマや、他者への依存、過去の呪縛など、現代社会に通じる問題を扱っています。

登場人物が直面する恐怖は単なる外的な存在から来るものではなく、内面的な葛藤や過去の罪が生み出したものであり、それが観客に深い印象を与える理由のひとつです。

映画全体を通して、観客は恐怖の背後にある人間の複雑な心情に引き込まれ、最終的に「恐怖とは何か?」という問いを考えさせられるでしょう。

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