映画「マッチング」は、そのミステリアスなストーリーと巧妙な伏線が観客を魅了しました。
ここでは、映画の重要なポイントを掘り下げながら、キャラクターの行動や音楽の使い方に注目して考察を行います。
考察① 輪花の隠された暗い一面
輪花は、映画の中で一見すると明るく仕事熱心なウェディングプランナーとして描かれています。
しかし、映画が進むにつれて、彼女には隠された一面があることが明らかになります。
特に注目すべきなのは、輪花が過去に抱えていた感情的な葛藤です。
高校時代に愛した先生が結婚することを知り、その複雑な心情が彼女に大きな影響を与えた可能性があります。
彼女は、結婚式の準備を進める中で、アプリ婚という新たな文化に対して強い否定的感情を抱いていることが描かれています。
この感情が、後の殺人事件へとつながるきっかけになったのではないでしょうか。
輪花は、結婚したカップルの情報を容易に知ることができる立場にあります。
ウェディングプランナーとして、カップルの個人情報を取り扱う仕事です。
そのため、アプリ婚した夫婦の情報を知ることは難しくなく、犯行に必要な情報を簡単に得られる環境にあったと言えます。
考察② 音楽「ボレロ」の象徴的な使い方
映画の中で、ボレロという音楽が何度も登場します。
この音楽は、輪花を象徴していると考えられます。
ボレロが初めて流れるシーンでは、誰かがスマホで幸せそうなカップルの写真をスワイプする様子が描かれます。
このシーンでは、音楽と映像が微妙にリンクし、輪花の心情が映し出されているように感じられます。
また、ボレロが流れるシーンで登場するキャラクターの行動も重要です。
影山が取り調べの際にボレロを口ずさむシーンでは、彼が輪花に関わる復讐心を持っていることを暗示しています。
そして、ラストシーンで流れるアレンジされたボレロは、輪花と吐夢の関係性の進展を示唆していると考えられます。
輪花と吐夢が最終的に結びつくことを、音楽を通じて観客に伝えようとしているのです。
考察③ 吐夢の役割とその意図
映画を通して、吐夢は一貫して輪花に対して非常に慎重で、距離を置いた行動を取ります。
この点が非常に重要です。
吐夢は、輪花を愛しながらも、彼女を傷つけることを避けようとしているように見えます。
吐夢は過去にマッチングアプリで問題を起こしており、その際にはベランダから女性を突き落とす事件もあったと言われています。
しかし、映画の中で描かれる吐夢の行動からは、彼が暴力的な人物ではなく、むしろ輪花を守ろうとする優しさが感じられます。
特に、輪花が危機に陥った時に彼が示す行動には、彼の本質的な善良さが表れています。
吐夢が血のついたナイフを洗うシーンでは、彼が輪花のために「後始末」をしていることが暗示されており、
最終的には輪花の秘密を知ってもなお彼女を愛し、支えようとしている姿勢が強調されます。
まとめ
映画「マッチング」は、登場人物の複雑な感情と巧妙な伏線が絡み合い、最後に衝撃的な結末を迎えます。
輪花の隠された過去や感情、音楽の象徴的な使い方、そして吐夢の心情の変化が、物語の鍵を握っています。
輪花と吐夢の関係性は、映画を通して次第に明らかになり、最終的には最も意外で衝撃的な形で結びつきます。
映画の終幕で明らかになる彼らの真実は、単なるサスペンスではなく、観客に強い印象を残すことでしょう。
このように、映画「マッチング」は、キャラクターの深層に迫ることで、観客に新たな視点を提供する作品となっています。
